どうして木造は壊れるの?

木造と鉄骨造で地震に対する考え方は同じであり、どちらも安全です。

木造の場合、略算ではありますが、想定した通りの地震を受け、想定した通りの力を受け、想定した通りに建物がふんばれば、木造でも十分安全です。
たとえ、阪神大震災クラスの地震がきても大丈夫です。
つまり、この判断を誤ったときに、木造は危ない。
判断を誤ったから、木造は壊れた。ということになります。
この判断ミスが、建物の安全性に与える影響が1番大きいと考えられます。

一般の方には、なかなか理解が難しい部分ですが、ちょっと説明をします。
木造の場合、日本の伝統的な構造であり、歴史があり、過去の先人の経験による部分も大きいためか、また一般的には規模が小さく、数も多いこともあり、標準的な木造住宅の場合は、地震に対する安全性の確認などはより簡単な方法でできるように定められています。
よって、特殊な技術や知識が必要でなく、ある程度の建築の知識さえあれば、(当然ながら、建物の種類、構造により決められた建築士の資格は必要ですが、)建てることが可能です。
(最低限必要な性能の確保を目的とした)建築基準法さえ満足していれば、実際には建ってしまいます。

さらに、専門的になりますが、もっと根が深い問題が現実にはあります。
(特殊な知識を有するとされている)一級建築士の資格があれば、設計する上で面倒な書類をある程度省略することができます。
現実には検討までを省略し、現場任せとしているケースも見受けられます。

実は、木造よりも鉄骨造などの場合の方がもっと問題は深刻です。
一級建築士は、どんな建物でも設計ができる知識を有すると誤解されてきました。
皆さんご存知の『姉歯耐震偽装問題』は倫理的な問題ですが、そうではなく技術、知識の欠如による『気づかない耐震偽装問題』もいくつか発覚しています。
建設業界においては、このような数々の重大な問題を受けて、国交省は2007年建築基準法を大改正し、厳格化を図りました。2008年11月には専門的な知識を有する『構造設計一級建築士』、『設備設計一級建築士』の資格も新たに設けられました。

結局、木造と鉄骨造のどちらが安全か?ではなく、どちらが安全に設計されているか?
極端に言えば、どちらが安全な建築士によって設計されているか?であります。

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